ASD(自閉症スペクトラム障害)はセロトニン機能が弱いです。
実際に、セロトニンが不足すると自閉的な傾向が強まることがわかっています。
じゃあ、セロトニンを増やすために元となるトリプトファンを摂ろうと考える方もいらっしゃるでしょう。
ですが、トリプトファンをサプリメントなどで過剰に摂取すると、かえってASDは悪化する可能性があります。
というのも、トリプトファンを摂っても必ずしもセトロニンになるとは限りません。
キノリン酸という神経毒を生成してしまいます。
トリプトファンは神経毒の元にもなる
摂ったトリプトファンの殆どはセロトニンになりません。
約90%がキヌレニン経路に行きます。
このキヌレニン経路の先にある代謝物の一つがキノリン酸です。
トリプトファン
↓
キヌレニン
↓
キノリン酸
キノリン酸は神経毒と言われていて、過剰になると神経細胞の死(アポトーシス)を招くとされています。
そうなると、脳の働きが悪くなり抑うつも酷くなるでしょう。
重度のうつ病の方やアルツハイマーの方はキノリン酸が多いとされています。
ASDはセロトニン代謝が悪いため、キノリン酸が過剰になってしまうリスクが高いと言えます。
では、ASDとキノリン酸の関係についてデータを3つ見ていきましょう。
その1.ASDは血液中のキノリン酸が多い
オマーンにあるスルタンカブース大学病院で実施された調査では、ASDの血液に含まれるキノリン酸が調べられました。
調査の結果、ASDは血液中のキノリン酸が多かったそうです。
血液中のキノリン酸濃度=脳のキノリン酸濃度ではありませんが、ASDはトリプトファン代謝が異常であることがわかります。
その2.ASDはトリプトファンを摂ってもセロトニン経路に行かない
イタリアで実施された調査では、ASDのセロトニン経路に異常が見つかりました。
尿の検査を行いトリプトファンの代謝を調べたそうです。
調査の結果、ASDの尿中に含まれる代謝物に異常が見つかりました。
- セロトニンが少ない
- メラトニンが少ない
- キノリン酸が多い
メラトニンが少ないと睡眠の質が悪くなる
メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれていて、セロトニンから作られます。
トリプトファン
↓
5-HTP
↓
セロトニン
↓
メラトニン
ASDが寝付きが悪い理由はメラトニンの代謝が悪いからです。
摂ったトリプトファンがメラトニンになりにくいと言えます。
どうやら、キヌレニン経路に行きやすいようです。
その3.うつ病は脳のキノリン酸濃度が高い
重度のうつ病の方は脳のキノリン酸濃度が高いです。
実際に亡くなったうつ病の方の脳を調べるとキノリン酸濃度が高かったというデータが数多く出ています。
ASDは確実にうつ病なるとは言えませんが、二次障害でうつ病を併発させやすいです。
メンタルが弱い人はキノリン酸濃度が高い傾向にあると言えるでしょう。
キノリン酸を増やさずにセロトニンを増やす方法
ASDは摂ったトリプトファンが神経毒であるキノリン酸になってしまう可能性は定型発達より高いと言えます。
サプリメントでトリプトファンを多めに摂っても寝付きが悪いのはトリプトファンがメラトニンになっていないということです。
じゃあ、トリプトファンを摂らずに、どうやってセロトニンを増やすかと言うと5-HTPを摂るのがオススメです。
5-HTPはセロトニンの一つ手前の代謝物になります。
トリプトファン
↓
5-HTP
↓
セロトニン
5-HTPはキノリン酸になることはないので、トリプトファンをガンガン摂るよりは安心かと思います。
まとめ
ASDはトリプトファンの代謝が定型発達と違います。
セロトニンを増やしたいからと言って、トリプトファンをサプリメントでガンガン摂ると神経毒であるキノリン酸が過剰になるリスクがあります。
キノリン酸が過剰になると、脳の働きが悪くなり抑うつも酷くなるでしょう。
重度のうつ病の方は、脳のキノリン酸濃度が高いことがわかっています。
とはいえ、普段の食事からトリプトファンを取り除くことはしないで下さい。
セロトニンが枯渇してしまいます。
セロトニンを効率よく増やしたい方は5-HTPを摂ると良いです。
もし、5-HTPに興味を持たれた方はiHerbというサイトで購入して下さい。
Amazonで売っていません。
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ただし、注意点として5-HTPを摂取することでセロトニンが増えすぎる可能性があります。
セロトニンが増えすぎるのも問題です。
次のような副作用が現れた場合は服用を中止して下さい。
- 吐き気
- 腹痛
- 眠気
それから「日光」と「運動」もセロトニンを分泌するために必要です。
できれば、20分ほどジョギングしましょう。
セロトニンが分泌されます。
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