ADHDは待つのがニガテです。
将来の報酬より目先の報酬に飛びついてしまいます。
我慢できずに多くのチャンスを棒に振ってきたADHDも多いでしょう。
私も機会に恵まれながらも忍耐力の無さのせいで、人生をブチ壊してしまいました。
悔やんでも悔やみきれません。
衝動性が高いほど、QoL(人生の質)が低下することがわかっています。
残りの人生を豊かに生きるには、我慢する力を身につけなければなりません。
そこで人生をブチ壊してしまったADHDに提案があります。
それは、瞑想をすること。
瞑想により我慢する力を鍛えることができます。
待てないのは脳のせい
ADHDは計画を立てて物事をやり遂げることができません。
目先の快楽や一時の楽に逃げがちです。
ただ、本人が怠けているというワケではなく脳に問題があります。
扁桃体(へんとうたい)と線条体(せんじょうたい)という脳領域が機能不全を起こしています。
ADHDは待つことに嫌悪感を感じる
ADHDが待てない理由の一つが、扁桃体の機能不全です。
扁桃体は怒りや悲しみなどの情動を司っていて、イライラや不安を感じているときは扁桃体が活動しています。
ADHDは待つという行為をすると、扁桃体が過活動を起こすそうです。
そのせいで、待つことに嫌悪感を感じます。
- 焦燥感に駆られる
- カリカリする
- どうしようもない不安に襲われる
待ちたくても苦しくて待てないのは扁桃体のせいです。
ADHDは報酬を受け取ると過剰に高揚感を感じる
ADHDが待てない理由の二つ目が、線条体の機能不全です。
線条体は報酬系と呼ばれていて、何かしらの報酬を受け取ると活性化して高揚感を感じさせます。
例えば、お給料をもらったり、ジャンクフードを食べたりするとドーパミンがドバッと分泌されて高揚感を感じるでしょう。
ADHDというのは、普段はあまりドーパミンが分泌されません。
そのせいで、やる気が出ず集中困難にもなります。
しかし、ADHDは報酬を受け取ると線条体が過活動を起こすそうです。
すると、過剰な高揚感を感じます。
これを脳が記憶すると依存の出来上がりです。
低ドーパミンであるADHDは脳がドーパミンを求めた結果、目先の報酬ばかりに目が眩んでしまいます。
瞑想は脳を鍛える
ADHDが待てない理由は扁桃体と線条体にあります。
扁桃体と線条体を鍛えることができれば、待つことができるでしょう。
そこで効果的な方法が瞑想です。
瞑想は扁桃体と線条体を鍛え、忍耐力を向上させます。
では、瞑想の効果について4つデータを見ていきましょう。
その1.マインドフルネスは扁桃体をコントロールする
Frontiers in Human Neuroscienceという学術雑誌に掲載された実験では、マインドフルネスの介入により扁桃体の活動に変化が見られました。
実験の対象者はマインドフルネスのレクチャーを受け、毎日実践したそうです。
などなど。
実験の対象者はマインドフルネス実践の前後で、扁桃体の活動状態を調べられました。
すると、マインドフルネスの実践後は扁桃体を活性化させる刺激を与えても反応が鈍くなったそうです。
扁桃体が安定化すれば嫌悪感などの否定的な感情をコントロールできていると言えるでしょう。
その2.瞑想はドーパミンを65%増やす
デンマークのコペンハーゲンで実施された実験によると、瞑想がドーパミン分泌を増やすそうです。
なお、実験の対象者は瞑想スクールの教師とのこと。
瞑想を7〜26年も続けているベテランです。
実験では瞑想中の脳の働きが調べられました。
実験の結果、線条体の活動に変化が見られたそうです。
その活動の変化というのが、ドーパミン分泌の約65%増加に相当するとのこと。
実際に瞑想を行うことで、欲求の低下や感覚の高まりが確認できています。
その3.マインドフルネスで衝動性が14%ダウンした
スペインのグラナダで実施された実験では、マインドフルネスの介入により衝動性や攻撃性が低下しました。
実験の対象者は10週間に渡るマインドフルネスのトレーニングを受けたそうです。
このマインドフルネスのトレーニングを終えた後、衝動性と攻撃性が低下したそうです。
- 衝動性が14%ダウン
- 攻撃性が18%ダウン
マインドフルネスを続けることで、ある程度は待てるようになると言えるでしょう。
その4.10分の瞑想で効果あり
瞑想を続けることで、衝動性を抑えることができます。
とは言え、待つことができないADHDは何週間も継続して瞑想を続けられないでしょう。
ですが、短時間の瞑想でも効果を発揮することがわかっています。
瞑想初心者でも、瞑想を初めたその日から効果があるということです。
アメリカにあるスワースモア大学で実施された実験では、瞑想初心者にも瞑想の効果が見られました。
なお、実験の対象者は瞑想初心者とのこと。
実験の対象者は2つのグループにわけられます。
- 瞑想する
- 瞑想しない
瞑想するグループのみ10分、瞑想を実施しました。
その上で、注意力を試すタスク(フランカーテスト)を実施したそうです。
実験の結果、瞑想をしたグループの方が回答の精度が高くなりました!
たった10分の瞑想で、注意力が高まったと言えます。
瞑想初心者であっても今すぐ効果を得ることができるでしょう。
神経質な人は瞑想の効果を享受しにくい
ただし、神経質な性格の人のみ瞑想の効果が見られませんでした。
ADHDだと不注意優勢型が当てはまるでしょう。
神経質な人は物音や雑音に意識を奪われがちです。
心が乱されやすい性質と言えます。
そのため、10分の瞑想では効果を享受するに至らなかったようです。
神経質な人は長めに瞑想を取り組みましょう。
まとめ
ADHDは待つことができず、チャンスを自らの手で台無しにしてしまいます。
ですが、待つことは非常に重要と言えます。
待てる人ほど人生の満足度が高いです。
残りの人生を幸せに生きたかったら待てる人になる必要があります。
そのために、瞑想を覚えましょう。
瞑想は脳を強化してくれます。
忍耐力を身につけるには、瞑想が効果的です。
今回は瞑想の詳しいやり方に関しては割愛します。
もし、瞑想に興味を持たれた方は書籍などでやり方を学ぶと良いでしょう。
- Quality of life and impulsivity in bipolar disorder
- Delay aversion in attention deficit/hyperactivity disorder is mediated by amygdala and prefrontal cortex hyper‐activation
- Abnormal Striatal BOLD Responses to Reward Anticipation and Reward Delivery in ADHD
- Response inhibition and reward anticipation in medication‐naïve adults with attention‐deficit/hyperactivity disorder: A within‐subject case‐control neuroimaging study
- Increased Neural Responses to Reward in Adolescents and Young Adults With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder and Their Unaffected Siblings
- Striatal Sensitivity During Reward Processing in Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD)
- Children with ADHD symptoms show decreased activity in ventral striatum during the anticipation of reward, irrespective of ADHD diagnosis
- Effects of mindful-attention and compassion meditation training on amygdala response to emotional stimuli in an ordinary, non-meditative state
- Increased dopamine tone during meditation-induced change of consciousness.
- Effect of a Mindfulness Training Program on the Impulsivity and Aggression Levels of Adolescents with Behavioral Problems in the Classroom
- Brief Mindfulness Meditation Improves Attention in Novices: Evidence From ERPs and Moderation by Neuroticism