オフィスや自分の部屋など、作業環境の色は重要です。
周りの色によって、パフォーマンスが変わります。
白と黒のモノトーンの部屋が好きな方は、ショックな話かも知れません。
モノトーンの部屋というのは、有彩色の部屋に比べるとパフォーマンスを下げるそうです。

ガーン!白と黒のモノトーン好きなのに…
タスク実行のパフォーマンスのテストで、有彩色の部屋の方が良い結果を残しました。
モノトーンの部屋はパフォーマンスを下げていた
モノトーンの部屋は、有彩色の部屋に比べるとパフォーマンスが下がります。
有彩色とは、白や黒、グレー以外の色のことです。

赤や青、緑などは有彩色
トルコの首都アンカラにあるビルケント大学の実験で、彩度が及ぼすパフォーマンスや気分への影響が調査されました。
その実験で明らかになったのは、無彩色(モノトーン)の部屋はパフォーマンスが悪くなるということです。
タスク実行の精度もスピードも有彩色の部屋に劣ります。

彩度は大事なんですね
それから、気分についても有彩色の部屋の方が、いくつかプラスの効果がありました。

モノトーンは、落ち着くので好きですが…
では、どのように彩度がパフォーマンスや気分に影響を与えたのか見ていきましょう。
実験の詳細:有彩色と無彩色の比較
ビルケント大学の実験では、彩度がパフォーマンスや気分に影響を与えていることを明らかにしました。
ということは、オフィス環境のカラーデザインは重要だと言えるでしょう。
彩度がオフィスワーカーの快適性や生産性を向上させます。

では、どのようにして彩度の効果を検証したのでしょうか?
2つのオフィス(有彩色・無彩色)を用意して、それぞれのオフィスでパフォーマンスと気分が比較実験されました。
実験が行われた2つのオフィス(有彩色・無彩色)
次の画像は、実験が行われた2つのオフィス(有彩色・無彩色)です。
左が有彩色のオフィス、右が無彩色のオフィスとなります。
これは実際に働かれているオフィスではなく、仮想オフィスです。
仮想というのは、実験のために造られた一時的な空間ということ。
ビルケント大学の事務室を改装して造られたそうです。
また、有彩色の色相に関しては赤と黄の中間色のような色が選ばれました。

暖色系の色です
両方のオフィス(有彩色・無彩色)で与えられた課題をクリアして、どちらが上か競われました。
2つのオフィス(有彩色・無彩色)は色以外同じ
実験の公平を期すために、色以外の条件は揃えられています。
ポスターだとか、実験に不必要なインテリアなどは撤去されました。
部屋の大きさも同じで、ほぼ正方形の部屋です。
それから、部屋の照明の強さも同じです。
日光も入ってこないように窓を黒いパネルで覆ったとのこと。

色以外は、全部同じ部屋
実験の対象者
今回の実験の対象者は22〜65歳の60名です。
平均年齢は30.5歳とのこと。
- 男性: 24名
- 女性: 36名
なお、実験前に色覚に異常がないことを検査されています。

実験の対象者はビルケント大学の教員や管理スタッフの方だそうです
2種類のタスクでパフォーマンス測定
パフォーマンスの測定には、2種類のタスクが用意されました。
まず、1つ目のタスクが問題解決の課題。
といっても、難しいものではなく小学校の図形テストのようなもの。
このような図形の問題が、いくつか出題されたそうです。

IQテストでありそう
2つ目のタスクが校正の課題。
文章(パラグラフ)の中にある指定された単語の数を数えたり、文章中の誤字を発見するというもの。

頭をつかうというより、処理スピードが求められるタスクかも
パフォーマンス計測に関しては、この2種類のタスクをこなすことで数値化されました。
- タスク実行の精度:問題に正解した数
- タスク実行のスピード:全問題に回答し終わるまでの時間
有彩色vs無彩色のオフィス!パフォーマンス比較
このように行われた有彩色vs無彩色のオフィスの戦いの結末は
・
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有彩色のオフィスの勝ちです!
タスク実行の精度もスピードも気分も負けています。
もし、あなたのオフィスや部屋が白黒のモノトーンなら、何か一色でも有彩色を取り入れましょう。

観葉植物でもいいでしょう
モノトーンの部屋はタスク実行の精度が悪くなる
無彩色のオフィスの方が、タスク実行の精度が悪いです。
平均値で見ると僅差に見えますが、今回の実験では統計的に有意な差が認められています。
これは、テキサス大学オースティン校の実験とも一致しています。
赤のオフィスと白のオフィスで、今回と同じ様な校正のタスクが実施されました。
その結果、赤より白のオフィスの方が間違いが多かったそうです。
モノトーンの部屋はタスク実行のスピードが遅くなる
無彩色のオフィスの方は、タスク実行のスピードも遅いです。
なんと、30秒も差があります。
同レベルの課題なのに、正答率もスピードも有彩色のオフィスが上です。
有彩色は体に活力を与える
やはり、無彩色に比べて、有彩色は体に活力を与える力があるようです。
ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツの実験では、有彩色が体の覚醒を起こしました。
覚醒を起こすとは、目が覚めて体が活発的になるということです。

やる気のスイッチが入った感じ
LEDディスプレイに、有彩色(青・緑・赤)と無彩色を見せて、心拍数などを計測したそうです。
すると、有彩色を見た方は目が覚めて、心拍数が上昇し、交感神経が高まりました。
とくに、彩度が高く明るい色にするほど、覚醒の効果は高かったです。
それに対して、無彩色は一時的に心拍数が下がるという結果になりました。

心拍数が下がれば、体から力が抜ます
カラフルなほど覚醒する
覚醒に関しては、色の数も重要です。
スウェーデンの(ルンド)とイギリス(オックスフォード)の研究者グループの実験では、色が及ぼす覚醒度が調べられました。
実験が実施されたのは、次の4つの部屋。
- 青色の部屋
- 赤色の部屋
- 灰色(グレー)の部屋
- 4色のカラフルな部屋(赤、黄、白、黒)
次の画像は、各部屋の覚醒度を示すα波のリズムレートです。
棒グラフの色と各部屋の色は対応しています。
カラフルな部屋は、紫色のグラフです。
α波のリズムレートが低ければ、覚醒度が高いという意味になります。
ということは、無彩色であるグレーの部屋は、覚醒度が最も低い色と言えます。
それに対して、カラフルな部屋は最も覚醒度が高いです。

彩度も色の数もパフォーマンスに影響する
有彩色のオフィスが及ぼす気分への影響
有彩色のオフィスがパフォーマンスを高めていることがわかりました。
では、気分への影響も見てみましょう。
有彩色のオフィスは気分が高まる
気分への影響は用意されたアンケートに答えることでスコア化されました。
例えば、快適度や満足度を1〜5点の間で点数をつけます。
その結果、無彩色のオフィスと比較して、有彩色のオフィスは次の点で、優れていました。
- 快適である
- 魅力的である
- ダイナミックである
- フォーマルである
- 調和的である
有彩色のオフィスの方が、快適で活動的であり働きやすいと言えます。

気分にも影響あり
他の実験でも、有彩色の部屋の方が、無彩色の部屋より気分を高めたという結果が出ています。
日光や外景、部屋のインテリアも重要
それから、自由形式のアンケートに両方のオフィス(有彩色・無彩色)に共通するクレームがありました。
- 日光が足りない
- 外の景色がない
- 愛着のあるアイテムやインテリアがない
- 色の数が少ない
今回の実験では、彩度の効果を比較するために、照明や備品が統一されています。
そのため、普段働いているオフィスと比べ物足りなさを感じたようです。

愛着のあるアイテムは癒やされますよね
やはり、日光やインテリアも気分へ影響を与える要素だと言えます。
また、色に関しても、より彩りがある方が快適に感じるようです。
これは、カラフルな作業環境が気分をポジティブにさせたという実験結果とも一致します。
まとめ
オフィスや部屋のカラーデザインというのは重要です。
快適性や生産性への関わりが大きいと言えるでしょう。
モノトーンの部屋は、オシャレで落ち着くのですが、退屈な気分にさせてしまっているかも知れません。
1色でも有彩色を取り入れてみましょう。
癒やしのグリーンがオススメです。