うつになると世界の見え方は変わります。
悲観的に物事を考えてしまったり、急にお金の不安に襲われたり。
それから、世界から色彩が消えます。
うつになると、まるで世界はグレー(灰色)になったかのよう。
色の鮮やかさは消え、くすんで濁ったように見えます。

うつの経験がある方は、感じたことがあるかも?
どうやら、うつになるとコントラストの感度が弱まり、世界はグレーに見えるようです。
うつはコントラスト感度を弱める
うつになると世界がグレーがかったように見えます。
それは、コントラストを知覚する感度が低下したことが原因です。
色を鮮やかに感じるのは、コントラストを正しく知覚しているから。
コントラスト感度が低下すれば、モノクロで単調に見えてしまいます。
次の画像を見てください。

左の写真は、コントラスト感度が正常な方が見えている世界。
右の写真は、コントラスト感度が低下した方が見えている世界。
このようにコントラスト感度が低下すると、グレーがかったように見えます。

網膜がコントラストを感じとっています
実は、うつになるとコントラスト感度が弱まります。
うつ患者のコントラスト感度を調べた実験データがあるので、紹介します。
- コントラスト感度が低下すると世界がグレーに見える
- うつはコントラスト感度を弱める
うつ患者のコントラスト感度を調査
ドイツのフライブルク大学の実験で、うつ患者のコントラスト感度が調査されました。
実験の結果、うつ患者は健康な人に比べて、コントラストに対する網膜の反応が低かったそうです。
ようは、うつになるとコントラスト感度が低くなるということ。
コントラストに対する網膜の反応をチェック
実験の対象者は、40名の健康な人と40名のうつ患者です。
コントラストが異なる白黒のチェッカーボード(オセロ盤みたいなもの)を数パターン見せて網膜の反応をチェックされました。

白と黒の強弱による網膜の反応チェック
網膜は、届いた映像を電気信号に変換して脳に送り届ける役割をしています。
つまり、網膜の活動が低ければ脳に届けれる情報が減るということ。
実験の結果、うつ患者は健康な人に比べて、網膜の反応が劇的に低かったそうです。

うつになると網膜さんが仕事しない
うつになると網膜の反応が下がる理由
うつになると世界がグレーに見えるのは、網膜の反応が下がりコントラスト感度が低下したことが原因でした。
ではなぜ、うつになると網膜の反応が下がるのかというと、ドーパミンが関係しています。

ドーパミンは、やる気やモチベーションの源
うつは、網膜内のドーパミン不足を招いているようです。
網膜内のドーパミン不足
網膜もドーパミンの影響を受けて活動的になります。
ということは、網膜内のドーパミンが不足すると、網膜の反応は低下するということ。
すると、コントラスト感度は低下します。

世界がグレーに見えるということ
網膜には、たくさんの細胞が存在します。
そのうちの一つが、アマクリン細胞。
アマクリン細胞は、ドーパミンを放出する働きをしてコントラスト感度と関わりが大きいです。
うつなどによって、アマクリン細胞のドーパミン放出が減れば網膜の反応が鈍くなってしまいます。
ドーパミン作動薬でコントラスト感度が向上
ちなみに、コントラスト感度は、ドーパミンが適正に分泌されていれば向上するようです。
ドーパミン作動薬というドーパミンを増やす薬を使った実験があります。
その実験によると、ドーパミン作動薬によってドーパミンの量を増やしたことで、被験者のコントラスト感度が向上したそうです。
ドーパミンは、やる気やモチベーションだけでなく、コントラスト感度も高めると言えます。

とはいえ、ドーパミンの増え過ぎも良くありません
まとめ
うつになると、世界はグレーとなります。
それは、網膜内のドーパミンが不足し、コントラスト感度を低下させているから。
もし、世界から色の鮮やかさが消えて、グレーがかったように見えてきたなら要注意!
うつのサインかも知れません。